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114: 名無しで叶える物語(らっかせい) 2020/12/19(土) 16:44:31.49 ID:ZfnY8Lu6
2、しずく
3、かすみ
4、歩夢
5、愛
6、せつ菜(または、菜々)
7、エマ
9、遥
0、侑


>>115 キャラクターセレクト(上の2~0からのみ)
>>117 内容選択(自由)

※注意事項
全て彼方との組み合わせ

115: 名無しで叶える物語(たこやき) 2020/12/19(土) 16:53:12.17 ID:tGoEwcHx
あゆぴょん

117: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2020/12/19(土) 17:38:08.86 ID:dublMC95
一緒にクソゲーで遊ぶ

118: case.3:歩夢とクソゲー(らっかせい) 2020/12/19(土) 18:10:05.34 ID:ZfnY8Lu6
ある日、部室に行くと歩夢ちゃんが一人きりで椅子に座っているが見えた。

その手には、余り見慣れないものが握られていて。

私はついつい、声をかけてしまった

彼方「何してるの~?」

歩夢「ふぇっ!? ぁっ……か、彼方さんっ」

彼方「なに隠したのかな~?」

歩夢「あ、その……これは何でもなくてっ」

さっと後ろに何かを隠した歩夢ちゃん

どこかに何かが引っかかったのか、

唐突に聞き馴染みのない音が大音量で聞こえてきた

歩夢「あっ……」

彼方「ん~?」

歩夢「……うぅ……」

119: case.3:歩夢とクソゲー(らっかせい) 2020/12/19(土) 18:22:15.58 ID:ZfnY8Lu6
音が聞こえて隠せないと悟ってか、

歩夢ちゃんは隠していた機械を私の前に晒して、音量を消す。

ちらっと見たときは見慣れなかったものの、

はっきりと見れば、ゲーム機だと分かる。

虹ヶ咲学園には数多くの同好会が存在しており、その中にはゲームに関するものもある。

部費で購入することは許されていないものの、

放課後、かつ、部室であればゲームをしても良いという許可は出ている。

でもそれは……

彼方「いけないんだ~」

歩夢「す、少しだけ進めたくなっちゃって……」

彼方「面白いの?」

歩夢「………」

歩夢ちゃんは少し黙ると、

目を背けがちに「そうですね」と呟く

本当に面白い……のだろうか?

120: case.3:歩夢とクソゲー(らっかせい) 2020/12/19(土) 18:45:24.57 ID:ZfnY8Lu6
彼方「なんだか不安になるなぁ」

歩夢「そ、そんなことないですよ!」

歩夢「えっと……そうだ。彼方さんもやってみますか?」

彼方「え~? 良いの~?」

歩夢「は、はいっ」

歩夢ちゃんからゲームを受け取って、ソファに腰かける

歩夢ちゃんも私の隣に移動して、

操作の仕方を教えてくれる

彼方「……画面暗くない?」

歩夢「これでも最大限明るくしてるんですよ」

歩夢「スマホとかに慣れてると、えーってなりますけどね」

121: case.3:歩夢とクソゲー(らっかせい) 2020/12/19(土) 18:54:31.78 ID:ZfnY8Lu6
彼方「えっと……これ、初めから出来ないの?」

歩夢「できませんよ」

歩夢「あ、いえ……初めから出来るには出来るんですけど」

歩夢「途中からは出来ないっていうか……」

歩夢「オートセーブなので」

歩夢「次のオートセーブまで進まないと、前回までのデータがすべて消えて初めからできます」

彼方「ん~?」

私はゲームに詳しいわけじゃない。

詳しいわけじゃないから絶対とは言えないけれど

オートセーブは一度ロードしたら終わりなのだろうか……

いや、そんなはずがない

歩夢「全部じゃないらしいんですけど、数十本に一本……ロードしたらデータが消えるのがあるらしくて」

歩夢「それが手に入ったんですっ」

歩夢「あぁでも、このゲームは別にそれだけじゃないんですよ?」

彼方「彼方ちゃんの勘違いじゃなければ」

彼方「歩夢ちゃんが自分でこの……バグ? のあるゲームを買ったって聞こえるんだけど……」

歩夢「えへへ……安かったので」

122: case.3:歩夢とクソゲー(らっかせい) 2020/12/19(土) 19:12:07.41 ID:ZfnY8Lu6
彼方「そっかぁ……」

安いから買ったというより、

元々そう言うゲームが好きだったって感じに聞こえる歩夢ちゃんの話

とりあえずゲームを進めてみようと画面とにらめっこ

ちょっと潰れた感じに見えるメニュー画面を開いて、閉じて。

彼方「……これって、何?」

歩夢「何っていうと?」

彼方「RPGとか、アクションとか、シミュレーションとか……」

歩夢「えっと……RPGだったと思います」

彼方「装備が何もないんだけど」

歩夢「死ぬと装備消えちゃうので……」

彼方「そっかぁ……」

彼方「どこかの村とか街とかで買うことできないの?」

歩夢「それ私も考えたんですけど……その……」

歩夢「無装備って、所謂全裸らしくて……そのまま入ると、村とか街の人に殺されたり、牢屋エンドです」

彼方「ん~……ん~?」

歩夢「なので、外で適当な魔物を倒して生成したり、旅人を襲撃して追いはぎしないと……」

彼方「おやぁ?」

物騒な単語が聞こえた気がするけど……気のせい気のせい

123: case.3:歩夢とクソゲー(らっかせい) 2020/12/19(土) 20:22:57.69 ID:ZfnY8Lu6
彼方「わっ……何か出てきた!」

暫く森のような場所を歩いていると、狼のような生き物がどこからともなく飛び出してくる

一匹だけだけど、敵視しているというか、

完全に威嚇されているように見えるけど……白くてちょっぴりかわい――

歩夢「彼方さん操作操作!」

彼方「えっ?」

白い狼は一瞬で距離を詰めてきて、画面には真っ赤な血しぶきが飛び散る

激しく揺さぶられるような映像が流れ……そして

血で染まった画面はそのまま暗転する

彼方「え? えっ?」

歩夢「死にました」

彼方「えぇ~っ!?」

彼方「今の戦闘だったの!?」

彼方「戦闘に入ったみたいなモーション何もなかったのに~!?」

歩夢「そういうゲームなので……」

彼方「えぇ……」

124: case.3:歩夢とクソゲー(らっかせい) 2020/12/19(土) 20:34:27.93 ID:ZfnY8Lu6
歩夢「基本的に、出てきた生き物はすべて敵だと思った方が良いです」

歩夢「そうしないと、あっという間に殺されちゃうので……」

彼方「そんなぁ……逃げるとか戦うとか選択肢はないの~?」

歩夢「ない……ですね」

歩夢「敵が出てきたら一目散に十字キーを操作して動かして……逃げ切るか」

歩夢「隠れてやり過ごせれば……って感じですね」

困ったような話す歩夢ちゃんは

けれど、それが面白いとでもいうかのように笑う。

私には、このゲームの面白さはちょっとわからないけれど

でも、歩夢ちゃんの楽しそうな顔を引き出せるゲームは、悪くない

彼方「そう言えば……オートセーブにたどり着けなかったらデータ消えるんだよね?」

歩夢「そうですね」

彼方「今……たどり着けなかったよね?」

歩夢「えっと……はい」

彼方「っていうことは……はじめから?」

歩夢「そうなります……」

彼方「わ~っ! ごめ~んっ!」

125: case.3:歩夢とクソゲー(らっかせい) 2020/12/19(土) 20:46:12.54 ID:ZfnY8Lu6
彼方「せっかく歩夢ちゃんが頑張ってたのに!」

歩夢「大丈夫ですよ、今のは最序盤の……まだ初めの村を出たばっかりなので」

彼方「最序盤で全裸だったの……?」

歩夢「村を出たときにオートセーブしたので、その先で死んで全裸スタートしたばっかりだったんです」

歩夢「このゲームのクリア方法は、とにかくゲームをやり続けること」

歩夢「中断せずに続ければ、一回だけオートセーブでやり直しできるので……」

彼方「えげつない……」

しかもこのゲーム機は充電式ではなく、電池式ときている

電池が切れたら終わるので、つけっぱなしになんてしていられない

だから、歩夢ちゃんも学校にまで持ち込んでやっていたんだろう

彼方「初めからやってみてもいい~?」

歩夢「良いですよ」

歩夢「もうかれこれ数十回死んでるので……気を付けてください」

彼方「難易度選択とかできないのかなぁ?」

歩夢「クリア後に周回特典で出来るみたいですよ。最大5つ」

彼方「5つも下げられるなら、元々――」

歩夢「いえ、5つ上げられるだけです」

彼方「なんで~っ!?」

126: 名無しで叶える物語(らっかせい) 2020/12/19(土) 20:55:52.23 ID:ZfnY8Lu6
本当に村と言うようなほとんど何もないような場所からのスタート

農夫の服(上)、農夫の服(下)、鍬

これが初期装備である。

村では薬草とかは買えるものの、武器は買えない

しかもこれ……

彼方「チュートリアル終わったと思ったら村が壊滅したんだけど~……?」

歩夢「チュートリアルで道具を買っておかないと、後々困るんですよね~」

彼方「教えてよ~」

歩夢「ごめんなさい……あんまり口出ししない方が良いかなって思って」

彼方「良いよ良いよ~」

彼方「気にせずバンバン言って~」

そして私にゲームクリアさせて~

これ、私一人だと何百回死んでもクリアできないよ……

うん、絶対に。

127: 名無しで叶える物語(らっかせい) 2020/12/19(土) 21:15:17.89 ID:ZfnY8Lu6
歩夢「ここで道が分かれてるんですけど……案内図がここにあるんです」

彼方「あっ、本当だ……左が安全で右が危ない……?」

彼方「左にいけばいいの~?」

歩夢「いえ、左に行くと賊に襲われて殺されます」

彼方「えぇ……?」

歩夢ちゃんは、最初看板に気付かなくて右に進んだらしいけれど

その先で死んだために、今度は左に行ったのだという

そうしたら襲われた挙句、

看板が云々という " 無意味 " な話を聞かされながら殺されたのだそうだ

歩夢「この看板、賊が罠として書き換えたらしいです」

彼方「それを殺されたときに聞かされると……」

歩夢「でも、看板は壊れて落ちてるので……探して見つけないといけないんです」

彼方「意味ないね~……」

歩夢「無いんですよ……ほんと、見つけても、何にも」

128: 名無しで叶える物語(らっかせい) 2020/12/19(土) 21:15:55.17 ID:ZfnY8Lu6
続きは後程

130: 名無しで叶える物語(茸) 2020/12/19(土) 22:29:16.05 ID:8507D3ED
なんかもう楽しそう

131: case.3:歩夢とクソゲー(らっかせい) 2020/12/19(土) 23:06:59.24 ID:ZfnY8Lu6
彼方「……じゃぁ、右に行く~」

歩夢「右側はさっきの狼が出てくる場所なので気を付けてください」

歩夢「ちなみに、三回攻撃したら、鍬は壊れます」

彼方「え……っと?」

彼方「攻撃ってどうするの?」

歩夢「この丸ボタンです」

歩夢「△ボタンで防御出来ますけど……」

歩夢「運が悪ければ一回で鍬が壊れます」

彼方「酷いなぁ……」

誤って防御した挙句、

運が悪く鍬が壊れて武器なしのままの逃走劇

木に登っても逃げきれずに喰い殺されること5回

歩夢「あ、そこは蛇の棲家なので隠れたら死にます」

彼方「にゃぁっ!?」

歩夢「×ボタン連打してください!」

そうして

歩夢ちゃんにヒントをもらいながら、ゲームを進めて十数分

画面が光に包まれて、左上の方でくるくると輪っかが回る

歩夢「やったーっ!」

歩夢「彼方さん、新しい場所ですよ!」

歩夢「オートセーブしました!」

彼方「え……」

彼方「や……」

彼方「やった~っ!」

132: case.3:歩夢とクソゲー(らっかせい) 2020/12/19(土) 23:21:43.98 ID:ZfnY8Lu6
彼方「なんだか彼方ちゃん涙が出てきた……」

歩夢「私、昨日一日中やってもここまで行かなくて……」

彼方「歩夢ちゃん……っ」

今にも泣きだしそうな歩夢ちゃんを抱きしめる

このゲームは、一人でやっていたら間違いなく心が折れる

好きとか嫌いとかそういう問題じゃぁない……

これは、やっている間にストレスが溜まってきて、一回叫びたくなるくらいに非常識

いいや、理不尽に包まれてた。

歩夢「でも、私こういうゲーム好きなんです」

歩夢「理不尽で、意味不明で、世間ではクソゲーとか言われてますけど」

歩夢「でも、なんていうか……やりたいことを詰め込んだって感じがするから……」

彼方「なるほどねぇ」

彼方「うん、その気持ちは分かるよ~」

このゲームの面白さはまるで分らないけどね~……

133: case.3:歩夢とクソゲー(らっかせい) 2020/12/19(土) 23:28:15.28 ID:ZfnY8Lu6
歩夢「彼方さん、続きやりましょう続き!」

彼方「あ、そうだね……私がやっちゃっていいの~?」

歩夢「クリアしたのは彼方さんですから、続きもどうぞ」

彼方「じゃぁ、死んじゃったら交代で良い~?」

彼方「難易度上がるけど~」

死んだら装備全損

まぁ、今はもう服を着てるだけなんだけどねぇ……

歩夢「大丈夫ですよ」

歩夢「ここに来るまでの方法は……ほら」

歩夢「全力でノートに書いたので!」

彼方「おぉ~……」

ノートのページを埋め尽くすような文字の羅列

消しゴムで消す手間も惜しんだのか、

二重線でいくつも消されていて、少し汚く見えちゃうけど……

私と歩夢ちゃんのやり取りがたくさん書かれていた

134: case.3:歩夢とクソゲー(らっかせい) 2020/12/19(土) 23:39:34.84 ID:ZfnY8Lu6
歩夢「彼方さんと相談しながらだから、ここまですんなり行けたんですよ」

彼方「すんなり……?」

昨日一日中かけてクリアできなかったというのを考えると、

確かに、十数分でステージの一つ? ダンジョン? を、クリアできたのはすんなりかもしれない。

けど、私的にはすんなりとはいけていない。

でも、私と相談しながらって

嬉しそうに言ってくれる歩夢ちゃんが見れたのは……嬉しい

歩夢ちゃんは笑わないなんてことはないけど、

でも。

やっぱり歩夢ちゃんには笑顔が似合う。

彼方「じゃぁさっそく――」

先に進めていこう。

そう言おうとした矢先に、部室の扉がガタガタと揺れる

せつ菜「すみません! 遅くなりましたー!」

愛「歩夢~、カナちゃ~ん! おっまたせ~!」

慌ててゲームを隠す。

歩夢「ここまで……ですね」

彼方「そうだね~……」

135: case.3:歩夢とクソゲー(らっかせい) 2020/12/19(土) 23:46:29.32 ID:ZfnY8Lu6
ゲームはあれだったけど

歩夢ちゃんとゲームをするのは楽しかった。

理不尽で、意味不明で

でも、だからこそ二人であれだこれだって話し合いながら

数十分かけて、ようやく一つのものをクリアする……それは、とても。

歩夢「あの……彼方さん」

彼方「ん~?」

歩夢「良かったら部活の後、私の家に来ませんか?」

彼方「一緒にこれの続きやろうって?」

歩夢「彼方さんさえ、良ければですけど……」

歩夢ちゃんと知り合ってから、まだ一年経っていないけれど、

それでも同じ同好会のメンバーとして密接な時間を過ごしてきたと思う

だけどこんな風にお誘いされることはなかった。

だから。

彼方「うんっ、続き……彼方ちゃんも気になる~」

私は歩夢ちゃんの家に行くことにした

136: 名無しで叶える物語(茸) 2020/12/20(日) 01:43:30.98 ID:qG5awViC
今日は乙?
かなあゆって滅茶苦茶貴重なんだよな

137: case.3:歩夢とクソゲー(らっかせい) 2020/12/20(日) 10:05:57.39 ID:TC4YPzvp
――――――
―――

歩夢「どうぞ、上がっちゃってください」

彼方「お邪魔しま~す……」

彼方「おぉ~……歩夢ちゃんの匂いがする~」

歩夢「なっ、何言ってるんですかっ」

歩夢「もぅ……やめてくださいっ」

放課後の部活を終えたあと、

約束のゲームの続きをするために歩夢ちゃんの部屋に来ていた。

ピンク色のクッションやカーテン

水玉模様の掛布団

歩夢ちゃんらしい、可愛い部屋

彼方「ほかにもいろいろゲームあるんだねぇ」

彼方「ほかのも、似たようなものなの~?」

歩夢「今回ほどの傑作は中々ないですよ」

彼方「傑作……?」

歩夢ちゃんの基準が分からない……

138: case.3:歩夢とクソゲー(らっかせい) 2020/12/20(日) 10:47:05.78 ID:TC4YPzvp
歩夢「スポーツドリンクしかなかったので、すみません」

彼方「いいよ~大丈夫」

彼方「スクールアイドルで頑張るようになってからは」

彼方「スポーツドリンクもより一層美味しいしね~」

彼方「それより、続きやろ~?」

歩夢「そうですねっ」

鞄の中からゲーム機を取り出した歩夢ちゃんから、受け取る

スリープモードみたいなのもないので、

ずっと電源が入ったままだったゲームは、

最後に見たときよりもちょっとだけ画面が動いていた。

歩夢「あっ……その、座る場所がないのでベッドに座っちゃってください」

彼方「え~途中で寝ちゃわないかなぁ?」

歩夢「途中で寝ちゃっても大丈夫ですよ」

二人分の重さでベッドが軋む

敷かれている布団が沈んで

普通に隣り合うよりも、少しばかり距離が近い

彼方「……なんだか、近いねぇ」

歩夢「あっ、すみません……」

139: case.3:歩夢とクソゲー(らっかせい) 2020/12/20(日) 10:59:28.85 ID:TC4YPzvp
離れようとした歩夢ちゃんの手を掴んで、引っ張る。

歩夢「きゃぁっ」

ぼすっと私の肩に歩夢ちゃんの体がぶつかって

少しだけ歩夢ちゃんに甘い匂いが強くなる

歩夢ちゃんだって意識的に距離を詰めたわけじゃない

それに、私は別に嫌だから指摘したわけじゃないから……

彼方「近くていいんだよ~」

彼方「今までこんなに近くにいたことがないからね~」

彼方「……少し、嬉しい」

歩夢「彼方さん……」

嫌われてるとは思ってなかった

でも、そこまで好かれてもいないんじゃないかって

ちょっとだけ思ってた

もちろん、そんなこと歩夢ちゃんには言えないけれど。

140: case.3:歩夢とクソゲー(らっかせい) 2020/12/20(日) 11:16:09.76 ID:TC4YPzvp
彼方「ぁ~……ゲーム! ゲームやろう!」

歩夢「そ、そうですねっ!」

学校では音を出せなかった分、

歩夢ちゃんの部屋では気にせずに音を出す。

ポップというか、ジャズというか、ロックというか。

なんだかよく分からないけれど、敵が出てきた時だけ激しさを増す謎のBGM

彼方「これって調べたら攻略情報出てきたりしないの~?」

歩夢「無いですね……調べると攻略する暇あるならこのゲーム! って別のゲーム薦められます」

彼方「そっかぁ」

森を抜けた後は、平原のようなフィールドに出る。

見渡せるので、敵がいるようには見えないけれど……

歩夢「……あっ、彼方さん敵が来ます!」

彼方「えぇっ!?」

歩夢ちゃんが叫んだかと思えば、

画面が大きく縦にブレて、地面が急激に迫ってくる

とっさに四角ボタンと十字キーの上を押して、受身を取る

彼方「画面に血が……ぁっ……音変わった」

141: case.3:歩夢とクソゲー(らっかせい) 2020/12/20(日) 11:33:07.95 ID:TC4YPzvp
歩夢「あの変なBGMが一瞬途切れたように聞こえたので」

歩夢「敵が来るかと思ったんですけど……やっぱり……」

大きな鳥の形をした敵

画面下のテキストには、鳥のくちばしに頭が貫かれた。とあるので、

奇襲を受けてダメージを負ったということだろう

森の中で蛇にかまれたときの毒状態に似たような状況なのか、

どんどんHPが減っていく

彼方「戦うしかない」

歩夢「状態異常で下手に動くと死にますからね……でも、武器が」

彼方「無いんだよねぇ……」

そして案の定

飛ぶ鳥落すための何もないので

継続ダメージでじりじりと画面が暗くなっていき……やがて、息絶える

彼方「あ~っ!?」

歩夢「再開して即死……」

彼方「む~っ!」

歩夢「次、私がやってみます……」

142: case.3:歩夢とクソゲー(らっかせい) 2020/12/20(日) 11:45:37.34 ID:TC4YPzvp
私では即死して、オートセーブした森の出口から再スタート

装備品は全損したけど、

元々特に何も持っていなかったので、問題はない

彼方「どうする~?」

歩夢「まず……戻ります」

歩夢「森の中に戻って、その中で木の棒とかそういうアイテムを手に入れるんですよ」

歩夢「鍬が無くなったので生成は出来ないですけど」

歩夢「石ころ一つでも、投擲武器になるのがこのゲームですから」

歩夢「彼方さんの仇だけでも取ってから死にます」

彼方「死ぬのは確定なんだねぇ……」

歩夢ちゃん曰く死にゲーというものらしい

死んで、死んで、死んで……一つ一つ解明していく。

なのに、セーブが正常動作しないなんて。

歩夢「木の枝発見!」

143: case.3:歩夢とクソゲー(らっかせい) 2020/12/20(日) 12:01:10.96 ID:TC4YPzvp
結局、その時点では道具をかき集めても足りず、

急襲してきた鳥に見事殺された。

そうしてまた、村からのスタート

歩夢「買えるだけ買う!」

売ろうと思えば持ち家さえ売れるこのゲーム

真っ先に持ち家を売りさばき、

アイテムを買えるだけ買って

村長の寝込みを襲って殺害し、剣を奪う

彼方「ひど~い……」

歩夢「これも生き残る為なんですっ」

ロープと購入した鎌を組み合わせて、鎖鎌もどきを生成する

これで、あの鳥も切り落とせるだろうけど……

彼方「村人5人も……」

歩夢「どうせ、滅びますから」

彼方「わぁぉ……」

144: case.3:歩夢とクソゲー(らっかせい) 2020/12/20(日) 12:44:13.43 ID:TC4YPzvp
歩夢「えっとここは……」

彼方「さっきのところにあった茂みって調べたっけ~?」

歩夢「あっ、戻って調べてみます」

因縁の鶏肉を焼いて食べるのを見守りながら、

歩夢ちゃんの攻略ノートに色々と書き込んでいく

まだオートセーブには辿り着けておらず

予断を許さない状態。

ちなみに、一回焼かずに鶏肉を食べて腹痛で死んでいるので

村からの再スタートは二回目だったりする。

……誤操作のせいで。

彼方「歩夢ちゃんっ、影……影が動いた!」

歩夢「火の影じゃ……」

歩夢「ない、ですね……」

元々暗い画面の中、

さらに黒くなっている部分から、変な骸骨が近づいてきた

彼方「骸骨……?」

歩夢「RPGではよくあることですよ」

歩夢「こういうのは、蹴り飛ばして逃げます!」

そして、逃げた先で囲まれて殺され……リスタート。

武器なし全裸で全力疾走

移動距離だけを稼いで……衰弱死で村に戻った。

145: case.3:歩夢とクソゲー(らっかせい) 2020/12/20(日) 12:50:22.90 ID:TC4YPzvp
そうやって数十回死に続けて……

ノート1冊を使い切るくらいにあれだこれだと攻略方法を書きだし、

話し合って。

歩夢「あっ、ダメ! そっちじゃないよ!」

彼方「えぇっ!?」

歩夢「逃げないと殺されちゃうっ」

彼方「うりやぁぁぁぁぁぁっ!」

コマンド連打で逃走劇

逃げ切れたら飛び跳ねるように喜び

殺されたら悪態をついてスポーツドリンクを飲み下す

緊張感と苛立ちと

まぁいろんなものが入り混じった暑さに、汗が浮かぶほど。

彼方「や~ら~れ~た~っ!」

歩夢「あぁ……」

百回目近い逃走劇は敗北し、画面にはゲームオーバーの文字

それを横目にベッドに倒れこむ

歩夢「もう、ダメですね……」

146: case.3:歩夢とクソゲー(らっかせい) 2020/12/20(日) 13:11:04.01 ID:TC4YPzvp
歩夢ちゃんも疲れたようで、

溜息をつきながら私の横に倒れこむ

頑張ったけれど、森の先から次のオートセーブまで進めない。

これはキツイ

でも、まだまだ何とかなる

彼方「まだだよ……歩夢ちゃん」

彼方「彼方ちゃんが、何とかして見せようじゃないか~」

歩夢「彼方さん……」

彼方「途中までの道は分かってる」

彼方「どこで死ぬかも分かってる」

彼方「何が必要かも分かってる」

彼方「大丈夫……私と歩夢ちゃんなら、いける!」

147: case.3:歩夢とクソゲー(らっかせい) 2020/12/20(日) 13:45:16.59 ID:TC4YPzvp
彼方「村人は……とりあえず殺す、家は売る、手に入るものは全部手に入れるでしょ~?」

彼方「素早そうな敵は逃げずに倒して~……」

彼方「足の遅い敵からは逃げる」

彼方「とにかく辺りを探索して……進む」

歩夢「凄い……」

彼方「彼方ちゃん、勉強は得意だからねぇ~」

彼方「復習ができれば、余裕だよ~」

歩夢ちゃんと一緒に纏めた攻略ノート

それを指先で軽く突いて、笑って見せる。

驚く歩夢ちゃんも……少し、笑って。

彼方「このゲームはめちゃくちゃで意味不明で、理不尽で……」

彼方「言い方悪いけど……クソゲーってやつなんだと思うよ~」

彼方「でも……だけど、面白い」

誰かと一生懸命に考えながら攻略していく

それがこのゲームの醍醐味であるというのなら、

なるほど……一人でやっていくのならクソゲーで、

でも、誰かと一緒なら、楽しめなくもない。

彼方「歩夢ちゃんとこんな風に距離が近づけたのは……間違いなくこれのおかげ」

彼方「そのお礼に……踏破してみせるよ~」

148: case.3:歩夢とクソゲー(らっかせい) 2020/12/20(日) 13:52:44.37 ID:TC4YPzvp
理不尽さに怒って、怒鳴って、

二人でコンビニにフライドチキン買いに行って食べてやろうかとか

憂さ晴らし的なことを考えたりするのも楽しかった

歩夢「彼方さんっ、ここまで来たことないよ!」

彼方「そうだねぇ……」

彼方「でも……もう大丈夫~」

制作者のやりたいこと詰め合わせセット

理不尽平原を乗り越えた先に待ち構えている洞窟

作ったたいまつに火をつけて洞窟の中に放り込むと、

何かが蠢く音が聞こえてくる

彼方「……よし、これだ~」

歩夢「採集した毒草……?」

一度肌に触れて死んだ毒草

それを丸めたものをたいまつに括りつけて火をつけてから洞窟に放り込む

離れて様子を見ると……洞窟の中から変な生き物がわんさか逃げ出してきて……もがき苦しみながら息絶える

彼方「生成したマスクを装備して~……突入~!」

149: case.3:歩夢とクソゲー(らっかせい) 2020/12/20(日) 14:18:23.48 ID:TC4YPzvp
歩夢「あっ……」

画面が切り替わって、左上に出てくるオートセーブマーク

それはつまり……二つ目のステージをクリアした証明

彼方「はぁ~……」

歩夢「やった~っ!」

彼方「わぁ……っ」

飛びついてきた歩夢ちゃんに押し倒されるようにして……ベッドへと倒れこむ

ゲーム機を叩きつけないようにそうっと手放して

歩夢ちゃんの体を抱きしめる

彼方「やったねぇ……ようやくだよ~」

彼方「つかれたぁ……」

かれこれ3時間くらいはたった1ステージに費やしただろう

しかも、踏破成功の時にかかったのはほんの十数分

彼方「おつかれ~……」

150: case.3:歩夢とクソゲー(らっかせい) 2020/12/20(日) 16:14:44.43 ID:TC4YPzvp
歩夢ちゃんさえもクソゲーというほどの意味不明なゲーム

まだ全部をクリアしたわけでもないけれど

でも、悪くない。

歩夢ちゃんと出会ってから、今まで

そのどれにも比較にならないくらいに歩夢ちゃんと話すことが出来たと思う。

時々、敬語が消えて

侑ちゃんと話すときのような口調になったりもしていて

距離が縮まったような気がした

彼方「……歩夢ちゃん」

歩夢「はい?」

彼方「また今度、ゲーム一緒にやろ~」

歩夢「それなら、このゲーム一緒にクリアしませんか?」

彼方「そうだねぇ」

彼方「あ、クリアしておいてくれてもいいんだよ~?」

歩夢「ダメですよ……彼方さんと一緒にクリアしたいです」

彼方「だよねぇ……」

151: case.3:歩夢とクソゲー(らっかせい) 2020/12/20(日) 16:44:48.89 ID:TC4YPzvp
歩夢ちゃんと距離を近づけてくれたのは嬉しいけれど、

ことごとくぶち壊しにしてくれるゲーム

彼方「乗り掛かった船だもんねぇ……」

彼方「じゃぁ、一緒にクリアしよ?」

歩夢「はいっ」

出来ればこんなゲーム二度とやりたくないって思うけれど

でも、歩夢ちゃんとなら……もう少しやっても良いかなって思う

歩夢「……そうだ、彼方さんゲーム持って帰ります?」

歩夢「ほかにもいろいろあるんですよ!」

歩夢「侑ちゃんはどうせクソゲーだよねっていうんですけど」

歩夢「でも、これとか。あと、これとか!」

歩夢「面白いんですよ!」

彼方「わぁ……」

そして、

歩夢ちゃんとやり始めた理不尽なゲームは、

完全クリアまでに半月もの時間を要したけれど……私達の距離はだいぶ、縮まった

たまには、クソゲーと呼ばれるものをやるのも悪くないかな~……

もちろん、誰かと一緒になら。だけど

152: 名無しで叶える物語(らっかせい) 2020/12/20(日) 16:47:15.81 ID:TC4YPzvp
case.3:歩夢とクソゲー 終了

ヒストリ
case1.果林(服選び 5-32)
case2.璃奈(お菓子作り 45-102)
case3.歩夢(クソゲー 118-151)

153: 名無しで叶える物語(わんこそば) 2020/12/20(日) 16:47:59.35 ID:vedg51MU
クソゲーでもちゃんとしてる

154: 名無しで叶える物語(らっかせい) 2020/12/20(日) 16:49:16.90 ID:TC4YPzvp
次のcaseはまたのちほど

155: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2020/12/20(日) 17:04:38.17 ID:Rn+HeFYx
すばらしい

156: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2020/12/20(日) 17:07:35.75 ID:a+u8+2De
歩夢まじでこんな趣味持ってんの?
シュールすぎるww

159: 名無しで叶える物語(えびふりゃー) 2020/12/20(日) 19:48:38.11 ID:IREYfDtl
>>156
ちょぼのせい

157: 名無しで叶える物語(もなむす) 2020/12/20(日) 18:35:58.57 ID:0ayxXl4B
すげぇw
おもしろい!

158: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2020/12/20(日) 18:45:12.57 ID:giWfa+jv
即興でここまで書けるのすごいな

160: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2020/12/21(月) 01:29:39.42 ID:+PnTPEEI
クソゲーの元ネタあるのか?

162: 名無しで叶える物語(八つ橋) 2020/12/21(月) 03:16:40.20 ID:s9M1+vsC
クソゲーコレクターちょぼ夢は53話だぞ

163: 名無しで叶える物語(茸) 2020/12/21(月) 03:22:30.79 ID:xOHB+aDd
ぽむの趣味のことじゃなくてゲーム内容の元ネタがあるのかって話じゃない?

167: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2020/12/21(月) 10:31:27.96 ID:+PnTPEEI
歩夢のベッドにゲームカセットのぬいぐるみがあるんじゃなかったっけ?
サスケぬいぐるみみたいなファンサービスだろうけど可能性がない訳ではない

161: 名無しで叶える物語(やわらか銀行) 2020/12/21(月) 01:50:58.95 ID:evY/v5lL
ぽむかなはガチのマジででめちゃくちゃ貴重
すごい新鮮だった

https://fate.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1608125472/