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166: 名無しで叶える物語(SB-iPhone) 2021/06/24(木) 19:12:55.37 ID:OwEw45iz
規制されました

別ブラウザからテスト

167: 名無しで叶える物語(SB-iPhone) 2021/06/24(木) 19:13:44.42 ID:OwEw45iz
大丈夫そうですね
今日は0時ぐらいになったら更新します

168: 名無しで叶える物語(はんぺん) 2021/06/24(木) 22:31:00.70 ID:nAmdSi2s
お待ちしています!

169: 名無しで叶える物語(SB-iPhone) 2021/06/25(金) 00:46:14.49 ID:peTic64M
エマ「ピュルル」

エマ「Vieni qui. Vieni qui.(こっちへおいで~)」


エマさんがヒュルルっと指笛を吹きます。
すると羊とヤギ達は、こちらへ顔を向けて一心不乱に走ってくるのです。

1匹1匹はとってもかわいい羊達ですが、こんなにも沢山だとちょっと怖い...

果林「大丈夫よ。肉食動物じゃないんだから」

姫乃「うぅ...頭突きとかされませんよね?」

果林「まあ...機嫌と間合いをうまく取ってれば...」

羊「めぇええええ!」怒

果林「わっ!?何この子!?怒ってる!?」

果林「慌てない、慌てない...ゆっくり後ろに下がって...」

果林「....とっとっと...きゃっ!」すってんころりん

果林「いたた...前に気ばかり取られて後ろへの警戒を怠っていたわ...」

姫乃「大丈夫ですか?」つ手

果林「ええ...」

170: 名無しで叶える物語(SB-iPhone) 2021/06/25(金) 00:52:42.15 ID:peTic64M
果林「そうだ、姫乃ちゃん」ぐいっ

姫乃「わっ!」すってんころりん

果林「これで同じね」

羊「べ~!」

姫乃「きゃっ、羊と顔が同じ高さですぅ!」

羊「なんやなんや」ゾロゾロ

姫乃「あっという間に囲まれちゃいました...」

エマ「ヒュルル」

羊「あっ、この笛の音はエマねえちゃんが餌くれる音や」

羊「さよならねーちゃん、邪魔して悪かったな」

エマ「はーい、みんなこっち来て」

姫乃「すごい...羊達を飴と鞭で制御してる...」

エマ「と、まぁ私のこっちでの仕事はこんな風かな?」

エマ「いつもの慣れだからこれぐらいちょちょいのちょいだよ!」

果林「エマって実は結構すごい人なのよね...」

171: 名無しで叶える物語(SB-iPhone) 2021/06/25(金) 00:59:38.29 ID:peTic64M
ここからはエマさんの家族に付き合ってもらいます。
エマさんの弟のフランコさんが、子羊を連れてきてくれました。

フランコ「子羊にミルクをあげるよ」

フランコ「はい、これbiberon」

そう言って渡されたのは大きな哺乳瓶です。

果林「ありがとう」

姫乃「子羊ちゃん達~おいで~」

子羊「ぺ~!」ぱくっ ごくごく

子羊達は勢いよく哺乳瓶に食らい付きます。
そして時々、哺乳瓶を上に何度も何度も押し上げます。
これは、お母さんのお乳を刺激して、ミルクを出しやすくする動きであり、勢いがよければ良いほど健康な羊であるそうです。

姫乃「かわいい~」

姫乃「ちっちゃいのに、毛がもこもこしてる~」

172: 名無しで叶える物語(SB-iPhone) 2021/06/25(金) 01:06:13.55 ID:peTic64M
エマ「もうちょっと早くうちに来たら羊の毛刈りが見れたのにね」

フランコ「羊の毛刈り、見る事、楽しいよ」

果林「ニュースなんかでよく見るわね。エマの家ではハサミを使うのかしら?昔彼方の髪の毛揃えてあげた時、羊がどうたらって言ってたじゃない?」

エマ「うーん、今はバリカン使って刈り上げる事が多いよ。羊切りつける心配がないから」

エマ「バリカンなら得意だから、刈り上げたくなったらいつでも言ってね!」

フランコ「姉さん、バリカン、とっても上手い!」

フランコ「俺の髪の毛、姉さん切った!」

姫乃「わ、私は遠慮しておきます....」

エマ「え~」

173: 名無しで叶える物語(SB-iPhone) 2021/06/25(金) 01:25:52.33 ID:peTic64M
さてと、手を洗ってお昼をいただきます。
今日のお昼はトマトのブルスケッタです。

エマさんの4番目と5番目の妹のアンリエッタちゃんとジーナちゃんが、ソワソワしています。
この2人が育てたトマトで、今日、初めて収穫されたものだそう。

姫乃「Grazie a tutti e due.(2人とも、美味しいトマトをありがとう)」

アンリエッタ「....///」

ジーナ「.... Sì!」ガッツポーズ

照れ屋のアンリエッタちゃんは、にこやかに微笑み、ジーナちゃんは小さくガッツポーズをしました。


チン! という大きな音がして、ライ麦パンが焼き上がりました。

酸っぱい匂いの中に、ふんわりと、麦の香りを感じます。

この上に、ダイスカットしたトマトを乗せて...オリーブオイルを沢山かけて...塩をちょろっと乗せて...


姫乃「いただきます!」

さくっ、ざくっ、はふはふ。

少し酸味の効いたトマトが、塩によって味が引き立てられ、そこにオリーブオイルの風味も加わって...

姫乃「Buono!」

エマ「美味しい!」

もう一個、続いてもう一個!
この上にサラミを乗せてもいいですね...

果林「...ふふっ」

果林「あなた達、美味しいのはわかるけど、リアクション逆じゃない?」

姫乃・エマ「あっ...あはは」

174: 名無しで叶える物語(えびふりゃー) 2021/06/25(金) 01:33:51.73 ID:NuUG4wId
エマはどとうのひつじ覚えてるんかな

175: 名無しで叶える物語(SIM) 2021/06/25(金) 01:45:22.37 ID:R8YWfbBT
ブルスケッタ美味いよな

176: 名無しで叶える物語(SB-iPhone) 2021/06/25(金) 01:58:43.72 ID:peTic64M
さて、今は午後。
ダリアさんの友人である、レオーネさんのお家に来ました。

エマさんの家から、歩いて10分ほどの、比較的近くにある、牛と馬を中心とした牧場です。

スイスの馬は、私達の想像する馬より少し小さいです。
馬の背と私の目線が同じくらいです。
ちょっと大きくした様なポニー?みたいな?

ダリア「紹介するわ、私の友人のレオーネ」

レオーネ「Io sono Leone.(レオーネです)」

ダリア「Signor Leone, insegnale a cavalcare.(お手柔らかにね)」

レオーネ「naturalmente(もちろん!」

177: 名無しで叶える物語(SIM) 2021/06/25(金) 20:12:38.48 ID:lL3xJVin
,,(d!.•ヮ•..)

178: 名無しで叶える物語(SB-iPhone) 2021/06/25(金) 23:29:55.69 ID:Xdgup3Ak
レオーネ「I cavalli che vivono nelle Alpi hanno gambe e piedi forti.(アルプスの馬は足腰が強いんだよ)」

レオーネ「Sarà anche un cavallo piccolo, ma è un cavallo potente.(小さいけどパワフルな馬さ)」

姫乃「へぇ~」

果林「姫乃ちゃん、なんて?」

姫乃「小さいけど、馬力があるそうです」

果林「なら心強いわね」

エマ「見てみて~」

エマ「Io dico!(それっ!)」パカラッパカラッ

果林「わお、早速凄いわね」

果林「私達、まだ馬に跨ってすらないのに」

姫乃「エマさん、私も負けませんよ!」

はじめに鎧にゆっくりと足をかけ、馬に乗ります。
真っ直ぐに腰を据え、重心を低くとり、乗馬に慣れている事を馬に感じ取ってもらいます。

こう見えても乗馬は慣れてるんですよ?
隼さんの愛馬をみんなでお世話していた事を思い出します。

馬「....」

姫乃「よろしくね」

馬「ぶるるん」ふんす

姫乃「はいや~」パカラッパカラッ

179: 名無しで叶える物語(SB-iPhone) 2021/06/25(金) 23:41:41.39 ID:Xdgup3Ak
果林「わっ、2人とも軽くこなしてるけど、結構難しいじゃない!」

果林「こ、こうでいいかしら?」

果林さんは意外にも手間取っていました。

レオーネ「Raddrizza un po' di più la schiena.(背中をまっすぐにね)」

果林「こうかしら?」

レオーネ「La prossima volta, darò un segnale al cavallo.(次にゆっくり合図をしてご覧)」

果林「馬さん、歩いてちょうだい」トントン

馬「....」

果林「....?」

レオーネ「Ummm...(うーん)」

果林さんの馬は、合図を送ってもうんとも、すんとも言いません。レオーネさんも少し困惑しています。

エマ「姫乃ちゃん、あれ」

姫乃「そうですね、果林さんが初心者なのを気遣って、お馬さんが動かないんだと思います」

エマ「果林ちゃん、もっと自信を持って蹴ってご覧」

エマ「初心者じゃないって馬を騙すの!」

果林「馬を、騙す...」

姫乃「馬を動かしてる人をイメージして、堂々と蹴ってください」

果林「堂々と...そうよ、私は暴れん坊将軍」

果林「それっ!」

馬「!!」ぶるるん

果林「ハイヤー」パカラッパカラッ

果林「凄いわ!乗馬ってこんな感覚なのね!風になった気分だわ!」

180: 名無しで叶える物語(SB-iPhone) 2021/06/26(土) 00:01:12.95 ID:62cddHDB
レオーネ「Camminiamo un po' più velocemente.(みんな出来たね。それじゃあ馬にもう少し早く歩いてもらおう)」

レオーネ「1、2...1、2」パカラッパカラッ

エマ「乗馬は気持ちいいね」

エマ「歌歌っちゃお」

エマ「la bella patria~」

la bella patriaは本来、アップテンポな曲ですが、即興アレンジを加えて、少ししっとりした曲に。

ゆったりとしたテンポは、周囲の景色と合わせて心を落ち着かせてくれます。

馬「パカラッパカラッ」

姫乃「君もわかるのかい?」


馬もそんな曲調に誘われてか、足がゆっくりになっていくのでした。

182: 名無しで叶える物語(SB-iPhone) 2021/06/26(土) 13:52:04.84 ID:sdGVKdIu
レオーネ「Grazie, ragazzina.(お嬢ちゃん力持ちだね)」

姫乃「Ero un idolo della scuola.(ふふっ、スクールアイドルでしたから)」

レオーネ「Gli idoli della scuola sono incredibili!(スクールアイドルってすごい!)」

乗馬体験を終え、今度はチーズ作りに移ります。
レオーネさんが持ってきてくれたのは、魔女が使う様な大釜、そして沢山の牛のミルク。

ミルクは今日搾ったものだそうです。干し草の香りが少しします。

果林「これでいいかしらね?」

エマ「うん、ばっちり」

エマさんと果林さんが、竈門に薪をくべらせます。
竈門に、先程の大釜を置き、ミルクをレオーネさんと注ぎ入れました。

今から私達は、とっても伝統的なチーズの作り方を体験します。

183: 名無しで叶える物語(SB-iPhone) 2021/06/26(土) 14:04:43.75 ID:sdGVKdIu
レオーネ「Mescolare il latte lentamente.(ゆっくり混ぜてね)」

エマさんは火力調節を、私と果林さんで、人肌になるまで、ゆっくりミルクをかき混ぜます。

種類にもよるのですが、10kgのミルクからできるチーズは1kgほどです。今回はミルク20kgを使い、2kgのバターを作ります。

ぐるぐる、ぐるぐる...

一気に熱しすぎると、上の方に脂肪の膜が張ってしまうので、釜のそこから押し上げる様に、ぐるぐる....

果林「結構疲れるわね」

姫乃「腰を使いますね...」

レオーネ「Ci sono quasi. Andiamo.(もう少し頑張って)」

果林「えぇ...」ぐるぐる


レオーネさんはと言うと、ミルクの様子を見ながら酵素を調節しています。
温めた牛乳に、この酵素を入れる事によって、固形物(カード)と液体(ホエー)に分離します。
そして固形物(カード)を押し固めた物がチーズになるのです。


レオーネ「Credo che sia giunto il momento.(そろそろかな?)」

レオーネ「Da qui in poi ci penso io.(ここからは俺がやるよ)」


レオーネさんと交代します。
酵素を混ぜ入れ、かき混ぜ棒を私達以上に、ダイナミックかつ繊細にぐるぐるしていると、ミルクがプリン状に固まってきました。

184: 名無しで叶える物語(たこやき) 2021/06/26(土) 14:09:31.13 ID:N4EfK23l
バターなのかチーズなのかコレガワカラナイ

185: 名無しで叶える物語(SB-iPhone) 2021/06/26(土) 14:09:52.13 ID:sdGVKdIu
>>183
ミス
×バター
◯チーズ

186: 名無しで叶える物語(たこやき) 2021/06/26(土) 14:43:18.67 ID:Xh2zibGC
スクールアイドルはすごいなあ

187: 名無しで叶える物語(SB-iPhone) 2021/06/26(土) 14:53:45.86 ID:sdGVKdIu
レオーネ「Taglierò il formaggio.Aiutami.(切り分けるよ。手伝って)」

ぷるんと固まったカードをサイコロ状になるまで小さく切り分けていきます。
この時、チーズハープと呼ばれる大きな竪琴を使い、左右に動かして、小さく切っていきます。

果林「さっくり切れて行って楽しいわね」

エマ「ぐるぐる~いぇーい」

次にこの小さくなったカードを、ザルで掬い取り、チーズの形に入れます。

レオーネ「Assicuratevi di mettere il formaggio fino al segno.(目盛りまでカードを入れてね)」

姫乃「こんな感じですか?」

レオーネ「Sì...!(そうそう!)」

果林「形に入れるとチーズっぽいわね」

エマ「あとはこれを倉庫で発酵・熟成させると美味しいチーズになるよ」

188: 名無しで叶える物語(SB-iPhone) 2021/06/26(土) 14:59:33.09 ID:sdGVKdIu
レオーネ「Ti preparo un altro formaggio.(もう一つ簡単なチーズを作るよ)」

レオーネ「Userò il resto del liquido.(余った液体を使うよ)」

そう言って、レオーネさんは残ったホエーを熱し始めました。
すると、ホエーの中からふつふつと固形物が現れ始めて...

エマ「これはリコッタチーズって言う、生のチーズなの」

エマ「みんな名前は聞いたことあるよね!」

果林「あっ、よくサラダとかに使うのよね?」

エマ「うん、サラダもいいけど、私のおすすめはワインビネガーと胡椒で一緒に食べるのかな」

レオーネ「Mi piacerebbe mangiarlo adesso, ma dovrà aspettare.(夕飯まで少し待ってね)」

姫乃「はい!楽しみですぅ」

189: 名無しで叶える物語(SB-iPhone) 2021/06/26(土) 15:02:23.71 ID:sdGVKdIu
スイスチーズの参考動画

https://www.youtube.com/watch?v=ceyGqNZCZRM&t=30s

190: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2021/06/26(土) 15:24:20.09 ID:1ChkOB3J
>>189
チーズ美味しそう!

191: 名無しで叶える物語(SIM) 2021/06/26(土) 21:10:56.59 ID:Bq1sAUHN
景色が良すぎる

192: 名無しで叶える物語(SB-iPhone) 2021/06/26(土) 23:42:46.16 ID:y5TOYsv8
先程作ったチーズは、熟成後に日本に輸送してくれるそうです。楽しみですね。

日も傾き、今は夕方。
エマさんの家に一旦戻りました。レオーネさんも一緒に招き、夕食です。


ダリア「フォンデュ、出来たよ!」

チェザレ「Buon appetito! (うまそう!)」

レオーネさんの作ったチーズを使い、今日の夕飯はチーズフォンデュです。

スイス人というより、ヨーロッパでは毎食、数種類ものチーズを食べます。

今日の食卓にも、チーズフォンデュ用のエメンタールチーズと、先程作ったフレッシュチーズが、野菜と一緒に盛られていました。

エマ「果林ちゃん、今日はどっちがいい?」

果林「うーん、今日は赤の気分ね」

エマ「了解!Papà, passami il vino rosso.(赤ワインだって!)」

チェザレ「Beviamo un bel bicchiere di vino oggi.(オッケー、今日はいいの飲んじゃうぞ!)」ポン トクトク

エマ「はーい、それじゃあみんな!」

エマ「よき日、よき酒、よきチーズに、Cin Cin!」

「「「「Cin Cin!!」」」」

193: 名無しで叶える物語(SB-iPhone) 2021/06/26(土) 23:51:58.95 ID:y5TOYsv8
トクトク...トクトク

グラスに血の様に赤いワインが注がれていきます。

私はちょっと大人ぶって、香りを堪能してみたり、一口だけ口に含んで、味を見たりします。

でもやっぱり...

姫乃「ごくっ...」

一口、ゴクリと飲むのが好きですね...
お父さんもお母さんも、あまりお酒が好きな方ではないのですが、この豪快さは誰に似たのやら...

エマ「Lentamente, versare lentamente il vino...(ゆっくりワインを注いで)」ドボドボ

果林「うっ...ととと、あはは、ギリギリまで注いじゃったわ」

エマ「Puoi avere tutto il vino che vuoi.(全部飲むから大丈夫)」ごくごく

エマ・果林「「あははは」」

果林さんとエマさんは、もうすっかり出来上がって、チーズフォンデュ所じゃなくなっていました。

少しゆっくり飲んでいた私は、まだ意識があります。
何をチーズに付けようかな....

うーん、まずは定番のブロッコリーからでしょうか?

194: 名無しで叶える物語(SB-iPhone) 2021/06/27(日) 00:00:30.57 ID:xNYJTjmR
串にブロッコリーをさし、ソローッと手を伸ばして、フォンデュの中へ。

八の字を描く様に、丸く、丸く、チーズを満遍なく。

十分にチーズをつけたら、お皿に盛り付けて、今度はナイフとフォークでお上品に。

姫乃「いただきます」パクっ

口の中に、チーズの旨みが広がり、後からちょうどいい塩味がやってきます。

姫乃「~~!!」

ここに、ワインを一口...

姫乃「ん~!!美味しい!」

姫乃「次は何にしようかな?じゃがいも?ソーセージ?」

姫乃「迷っちゃう!」

至福のひと時はまだまだ続きそうです。

195: 名無しで叶える物語(SB-iPhone) 2021/06/27(日) 00:11:55.25 ID:xNYJTjmR
エマ「エマヴェルデ!歌います!」

果林「いえーい!」

エマ「目を閉じれば思い出す~故郷の景色」

エマ「って、あっ!今私スイスじゃん!」

エマ「失礼しました!」

エマ「辞めます!」

姫乃「...えぇ」

宴も少しおさまり、酔っ払い達の奇行に、少し困惑している頃...

エマ「ほら、ジーナもおいで!」

ジーナ「Cosa!?」

5番目の兄妹のジーナちゃんが、嫌々エマさんに付き合わされています。

ジーナ「Smettila, puzzi di alcol!(お酒臭いよエマねえ!)」

エマ「いいじゃん、いいじゃん」

これはちょっと...
止めなきゃいけない人が皆んな酔いつぶれているので、私が止めなければなりません。

エマさん、仕方ないなぁ...

196: 名無しで叶える物語(SB-iPhone) 2021/06/27(日) 00:23:10.32 ID:xNYJTjmR
姫乃「ほら、エマさんダメですよ...」

エマ「え~、ジーナもいいって言ってるし」

ジーナ「...」

姫乃「兄妹でもダル絡みはだめですよ」

エマさんを引き離します。
ジーナちゃん、災難だったね。

エマ「わー、もう姫乃ちゃんがジーナの代わり!」ギュッ

姫乃「へっ?」

姫乃「わっ!」

今度はエマさんが私に抱きついてきました。
エマさんと私の体格差は結構あります...
こう言うのは失礼かもですが...うぅ...重い...

エマ「姫乃ちゃ~ん」ギュッ

エマ「よーしよしよし」

そう言って撫で回すエマさん。

エマ「私ね、姫乃ちゃんに初めて会ったときね...」

エマ「スイスって呼ばれてる時からね...」

エマ「....姫乃ちゃんの事が....むにゃむにゃ」

続きが気になる所でエマさんが寝てしまいました。
体重が一気に私に覆い被さってきます。

姫乃「え、エマさん!?起きて、起きてください!」

エマ「むにゃむにゃ...」

255: 名無しで叶える物語(SB-Android) 2021/07/01(木) 08:25:57.45 ID:mG3Bkgho
>>196
これ何を言おうとしてたんだろうな

197: 名無しで叶える物語(SB-iPhone) 2021/06/27(日) 00:42:50.66 ID:xNYJTjmR
姫乃「Prendi quello.(そっち持って)」

ジーナ「Si,(うん)」

姫乃「1、2、1、2」

ジーナ「1、2、1、2」

寝入ってしまったエマさんをお部屋に搬送します。
スイスまで来て、まさかこんな事をする羽目になるなんて、誰が想像しました?

階段を上がって、3つ目の部屋...

ドアノブをガチャリと回して、エマさんの部屋へ...

一人部屋ではなく、ジーナちゃんとの相部屋なんだそうです。
部屋は、エマさんの清潔さを表す様に、きちんと整頓されていました。本当、お酒が入らなければ、しっかりした人なんだけどなぁ...

ジーナ「La butto qui.(ここのベッドに投げとけばいいよ)」

姫乃「大丈夫かなぁ?」ボフッ

姫乃「Tornerò domattina.(明日の朝、また様子見に来るね)」

ジーナ「si,(分かったわ)」

姫乃「dormire(おやすみなさい)」

ジーナ「dormire(おやすみ)」バタン

ドアの前で、はぁ...と息を吐いて、一旦気持ちを整理させます。
なんと、エマさんの他にもまだ果林さんが残っているのです。

姫乃「まだまだ寝れそうにないですね...」

そう言ってトボトボ階段を降りていくのでした。

198: 名無しで叶える物語(SB-iPhone) 2021/06/27(日) 01:06:58.45 ID:xNYJTjmR
~3日目~

ん~おはようございます。
昨日の喧騒はどこへやら...アルプスの朝は静まりかえっています。

果林「おはよう姫乃ちゃん...」

姫乃「おはようございます...」

果林「ねえ、昨日、もしかして連れて帰ってくれた?あんまり覚えてないんだけど、ありがとう」

姫乃「い、いえ、大した事ないですよ」

エマ「二人とも、おはよう」

姫乃「おはようございます」

エマ「姫乃ちゃん、昨日はありがとうね」

姫乃「お礼なら、ジーナちゃんへ...」

エマ「あはは、そうだね...」

エマ「朝ごはんできてるから、早くね」

姫乃・果林「はーい」

205: 名無しで叶える物語(SB-iPhone) 2021/06/27(日) 15:06:30.06 ID:IhmuprBH
>>198
訂正
5日目

199: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2021/06/27(日) 01:15:20.31 ID:j5dBkRli
実際はチーズは乳製品だから検疫の関係で家庭物を日本に持ち込むのは大変やぞ(というかほぼ無理)
商品でも関税かけられて価格が跳ね上がる

でも、楽しく読ませてもらってるんで気にせず続き書いてください

200: 名無しで叶える物語(SB-iPhone) 2021/06/27(日) 01:15:51.15 ID:xNYJTjmR
エマ「今日は白いパンが出るよ」

エマ「これはね、ツュップフって言う。意味は三つ編み」

エマ「私の大好きなパンなんだ」

姫乃「へぇ...名前の通り、編み込まれてますね」

果林「どれどれ?いただきます」パクっ

果林「ん!このパン、甘いのね」

エマ「バターを沢山練り込んでいるからね」

エマ「この味がたまらなく美味しいの!私の大好きなパンのうちの一つだよ」

姫乃「たしかに、ヨーロッパでは、塩辛いパンが多いので、これは異色な存在でありますね」

エマ「私、甘い味付けの方が好きで...思えば、日本のパンが好きな理由も同じなんだと思う」

エマ「日本のパンは甘い物が多いから」

果林「日本のパンが甘いだなんて意識した事なかったわね」

エマ「スイスに住んでみればわかるよ」

エマ「果林ちゃん、私のお嫁さんになってみる?」

姫乃「そ、そういうのはダメです!」

果林「そうね...エマ、まだお酒が抜けてないんじゃない?」

エマ「ふふっ、冗談かどうかはまあ任せるね」

姫乃「えー!?」

201: >>199マジですか!?輸送の値段同じだと思ってました(SB-iPhone) 2021/06/27(日) 01:33:23.81 ID:xNYJTjmR
歯を念入りに磨いて、アホ毛もしゃっきりさせて...
櫛を何度もかけて、ヘアアイロンも十分に...
今日は人に会う日なので、清潔感を大切に。

果林さんも横でおめかしをしています。

3日目の予定ですが、今日はアイロロ村の児童館にお邪魔します。そして午後にゴッタルド峠へ遊びに行きます。

児童館では、日本について、軽くプレゼンテーションとレクリエーションを。

実は、旅の日程が決まった際、エマさんの妹のヨランダちゃん経由で、アイロロ村に日本人がやってくると話が広まり、遂には学校の先生まで行き渡ったそうです。
普段は観光客が多いアイロロ村ですが、この機会にぜひと、日本について村のちびっ子達に紹介する事になったのです。

もちろん通訳はエマさん。リアルタイムで翻訳してくれます。

さてと、準備も出来たし、児童館へ...

202: 名無しで叶える物語(SB-iPhone) 2021/06/27(日) 01:47:07.31 ID:xNYJTjmR
先生「Oggi i nostri amici dal Giappone sono venuti a trovarci.(今日は日本からお友達が来てくれました)」

先生「Sono la signora Korin e la signora Himeno.(果林さんと姫乃さんです)」

果林・姫乃「「ciao」」

ちびっ子達「ciao~」

頭数にして40人ほどでしょうか?
年齢は7歳ぐらいから14歳ぐらいまで、様々です。

エマさんの妹達、ジーナちゃん、アンリエッタちゃん、イザベラちゃん、そしてヨランダちゃんの姿も混じっています。

果林「こんにちは。私の名前は朝香果林よ」

エマ「Il suo nome è Asaka Karin~」

果林「それで、こちらが綾小路姫乃ちゃん」

姫乃「今日はよろしくお願いします」

ちびっ子「per favore!」


みんなかわいいですね。
自然と口元が緩み、笑顔になります。
では初めに、日本の地理からおさらいして...

黒板に地図をカキカキ...
八丈島も忘れないでカキカキ...

よしっ、我ながらよく出来ました!

203: 名無しで叶える物語(SB-iPhone) 2021/06/27(日) 02:11:29.51 ID:xNYJTjmR
果林「という訳で、私は八丈島出身の日本人、姫乃ちゃんは東京出身よ」

果林「日本の地理はここまで」

姫乃「ここからは質問タイムです!」

姫乃「日本について、何か聞きたいことはありますか?」

モブショタ「Sì, ho una domanda.(はい!質問です!)」

モブショタ「Ci sono dei Ninja in Giappone?(ニンジャはいますか?)」

姫乃「いない...いやいるんですかね?返答に悩みます」

果林「うーん、お城とかには今でも一応いるわよ。パフォーマンスの人だけど...」

果林「いるけど、本物ではない、が答えかしらね」

モブショタ「Oh, sì...(そうなんだ)」

姫乃「でもニンジャの子孫とかはいるらしいですよ。ただ、子孫の方は普通の暮らしを送ってるらしいですが」

モブショタ「non deve!?(マジ!?)」

姫乃「マジ」

果林「次、質問ある人はいるかしら?」

モブメガネ「Sì, ho una domanda.(はい!質問です!)」

姫乃「何でしょう?」

204: 名無しで叶える物語(たこやき) 2021/06/27(日) 06:04:51.44 ID:0U2Z8RRX
スイスの情報量すごい…

206: 名無しで叶える物語(SB-iPhone) 2021/06/27(日) 15:19:22.48 ID:IhmuprBH
モブメガネ「In Giappone, è vero che si lavora quando si compiono 20 anni(日本では20歳ぐらいから働き始めるって本当ですか?)」

姫乃「へ?まあ、そうですけど...それが普通じゃないんですか?」

エマ「あー、スイスの事、説明してなかったね」

エマ「スイスは15歳までが義務教育で、その次に大学の為の教育課程か、職業のための教育課程かに分かれてて」

エマ「進学率は2~3割ぐらいかな?早い人だと15、6歳ぐらいで働き始めるんだよね」

エマ「日本に行きたかったから、勉強して大学の為の教育課程に入ったよ」

エマ「日本とスイスだと職業観念がちょっと違って...」

エマ「日本だとなりたい物になって働く、だけど、スイスだとちょっと違って」

エマ「自分の能力によって働くって所が大きいかな?」

姫乃「知りませんでした...」

姫乃「これは難しい質問ですね」

果林「じゃあ、これは私が答えるわ」

果林「日本では半分の人が大学に行くけど、もう半分の人達はそうじゃないわ」

果林「自分の能力によって働く人もいれば、なりたい物になって働く人もいる」

果林「そこらへんはやっぱり勉強による努力が大きい...」

果林「うーん、こんな感じかしらね?」

モブメガネ「Grazie.Non sono sicuro di cosa voglio fare della mia vita.(ありがとうございます。私は将来何をしたいか迷っていて)」

モブメガネ「Credo che sia lo stesso per i giapponesi quando si tratta di preoccuparsi della loro professione.(何になるか悩むのは、どこの国も同じですね」

姫乃「あなたが、将来良い職につける事を願います」

姫乃「次、質問がある人はいますか?」

207: 名無しで叶える物語(SB-iPhone) 2021/06/27(日) 15:45:34.46 ID:IhmuprBH
エマ「Il periodo delle domande termina qui.Poi passeremo alla ricreazione.(質問会はこれで終わり。次はレクリエーションだよ)」

果林「今回やるのは靴飛ばしのレクリエーションよ」

果林「さて、3チームに分かれて」

ちびっ子達「ぞろぞろ」

姫乃「3チームに分かれたところで、私たちがそれぞれのチームに入ります」

姫乃「私このチーム!」

果林「じゃあ私このチーム!」

エマ「Questa squadra! Piacere di conoscerti.(ここにしよ。よろしくね!)」

ちびっ子達「ニコニコ」


靴飛ばしのレクリエーションのルールは簡単。

初めに片方の靴を好きな方向に、好きな距離だけ飛ばしてもらいます。

飛ばせたら、チームごとに整列して....
一人ずつ片足けんけん飛びで、自分の飛ばした靴を取りに行ってもらいます。

どのチームが一番早く、みんなの靴を揃えられるかを競います。


姫乃「みんな、準備は出来た?」

ちびっ子達「ok~!」

姫乃「よーい、スタート!」

戦いの火蓋が切って落とされました。
けんけんに慣れないで、よろけてしまう子、ちょっとズルして両足で歩いてしまう子、近い所に靴を飛ばした子。

みんなちょこまか動いていてかわいいですね!

208: 名無しで叶える物語(SB-iPhone) 2021/06/27(日) 15:57:44.38 ID:IhmuprBH
勝負は最終コーナーを回って、私と果林さんとエマさんの真剣勝負へ。

私達の靴は一番遠くの、30m前方へ飛ばされています。

片足けんけんは、脚の差がリーチの差って言いますが、小さいからって甘く見ちゃダメですよ!私だって頑張ります!

モブ「Buona fortuna, sorella maggiore.(お姉ちゃん、頑張って!)」タッチ

姫乃「Ho capito.(任せて!)」

姫乃「ふっ、ふっ」

3頭身私がリードします。

エマ「はぁあああああ!ほっ!ほっ!」

果林「負けてられないわ!ほっ、ほっ!」

ちびっ子達「farlo~(がんばれ~)」

後ろから、二人が追い上げて、私に並びます。
私の靴は...あった!これです!

素早く履いて、また片足けんけんを...

姫乃「ふっ、ふっ、」

エマ「うをおおおおおお!」ぴょんぴょん

姫乃「何あれっ!?速っ!」

果林「はぁああああああ!」ぴょんぴょん

姫乃「こっちも速っ!」

姫乃「私だって、負けてられませんよ!」

姫乃「うぉおおお!」ぴょんぴょん

209: 名無しで叶える物語(SB-iPhone) 2021/06/27(日) 16:14:24.55 ID:IhmuprBH
姫乃「ゼェ...ゼェ...」

モブ子「Ottimo lavoro, sorella.(お姉ちゃん、お疲れ様)」

姫乃「...うん」ゼェ...ハァ...

なんとかリードを保てて無事一位です。
その次に、果林さんが続いて、エマさんが3番目。

ちびっ子達は、まだ飽き足らない様で、もう一回やろう、もう一回やろうとせがんで来ます...

ごめんね、お姉ちゃん達、もうスタミナが....

果林「負けちゃったわぁ...ごめんなさい」

モブ男「Non chiedere scusa. Facciamo un altro gioco.(謝らないで、そうだ!別のゲームしよ!」

モブ男「Prendetelo! (追いかけっこしよ!お姉ちゃん鬼!)」タッチ

果林「あわわっ...もう、その気になったら私は強いのよ!」

果林「待て待て~」

エマ「ヒュー、鬼さんこちら!」

果林「あっ、姫乃ちゃん...」

果林「タッチ!」

姫乃「えっ!?えー!?」

果林「追いかけなきゃ!」

姫乃「は、はい!」

ちびっ子達「Corri!(逃げろ~)」

210: 名無しで叶える物語(たまごやき) 2021/06/27(日) 23:13:05.10 ID:mqY3+JcC
子供の体力ってほんとヤバい
ましてやスイスなんていう広大な自然で育った子は更に体力おばけだろうなぁ

211: 名無しで叶える物語(SB-iPhone) 2021/06/28(月) 00:27:02.52 ID:vrRUPopW
はぁ...とっても疲れました。
私が倒れても、みんなが私の事を起こして、追いかけっこの無限ループ...
子供の体力って無尽蔵ですね...私にもあんな頃があったとは思うのですが、はるか遠い昔になってしまいました。


フレッシュチーズのサンドイッチとカプチーノをいただき、食事の余韻に浸ります。

ゴッタルド峠へ行くのは1時間後です。歯磨きを長くとっても、まだ余裕がありますね。

エマ「ねえ、果林ちゃん、姫乃ちゃん」

果林「何かしら?」

エマ「3日目の最初に、私の名前が付けられた気があるって言ったの覚えてる?」

エマ「今はちょうど、早りんごとあんずの収穫時期なの」

エマ「サングリアっぽい物を作って、夕飯に飲もうと思うんだけど、一緒に収穫してみない?」

姫乃「エマさんの木、とっても気になります!」

エマ「ぷぷっ」

エマ「木が気になるなんてダジャレになってるね」

姫乃「い、いえっ、そんな気じゃ!」

エマ「わかってるって。それじゃあ家の裏手に行くからついてきて」

212: 名無しで叶える物語(SB-iPhone) 2021/06/28(月) 00:33:44.96 ID:vrRUPopW
エマ「ここだよ」

果林「随分と枝が大きく育ってるのね...幹も太いわね」

エマ「妹のフェリーチャの木がこれね」

エマ「フェリーチャって、ほら私の二つ下の、今は家にいない妹の」

エマ「あっちがフランコの葡萄の木」

エマ「こっちはまだ収穫時期じゃないね」

エマ「あんずは十分に熟してるみたいだから、ちょうどいいね」

果林「姫乃ちゃん、手届く?」

姫乃「うーん、少し届かないですね」

果林「なら私がとってあげるわ」プチっ

果林「はいどうぞ」

姫乃「あっ、ありがとうございます」

姫乃「少し小ぶりなりんごとあんずですね」

エマ「うちは農薬とか使ってないから...必然と大きな実は鳥に狙われて、小さな実だけ残るの」

エマ「でも味は同じだから、安心して」

果林「サングリア、とっても楽しみだわ」

213: 名無しで叶える物語(SB-iPhone) 2021/06/28(月) 00:37:55.72 ID:vrRUPopW
エマさんは取ってきたあんずとりんごの皮を丁寧に剥き、砂糖と一緒にビンの中へ入れていきます。

エマ「ねえ、リキュール入れてもいい?」

エマ「こうすると美味しくなるの」

果林「エマがおすすめしてくれるなら、それに従うわ」

エマ「じゃあ入れるね...ほんのちょっとだけ」ドボドボ

姫乃「これはどれくらい待てば飲めるようになりますか?」

エマ「うーん、1時間も有れば、十分だと思う」

エマ「ゴッタルドへ行って、帰ってくる頃にはそれはもう美味しくなってるよ」

姫乃「楽しみです」

214: 名無しで叶える物語(SB-iPhone) 2021/06/28(月) 01:33:58.04 ID:vrRUPopW
チェザレ「Guida con prudenza.(安全運転で)」ブロロ

エマ「Davvero?(本当)」


アイロロからゴッタルド峠へは、車であれば20分とちょっとぐらいで着きます。

ですが一つ問題があって...
道がめちゃくちゃに何度もスイッチバックを行うのです。

no title


チェザレ「Emma, metti una canzone.(エマ、曲をかけて)」

エマ「Eurobeat?(ユーロビート?)」

チェザレ「Si,(もちろんだ)」

入り組んだ道、ユーロビート、外車...あっ
イニシャルな何かが始まりそうです。ギュッと体を縮こめて、ことが過ぎるのを待ちましょう...

215: 名無しで叶える物語(SB-iPhone) 2021/06/28(月) 01:41:54.63 ID:vrRUPopW
車「ブッブーですわ!」

思った通りの少し荒めな運転。
そんなに激しいのではありませんが、体が左右に揺れます。

窓の近くのアシストグリップを掴み、酔わないようになるべく遠くを見ます。
あれは雪でしょうか?

見える景色からは、緑が徐々に消えて、そのかわり切り立った岩が剥き出しにみえています。
岩の無機質な灰色が緑を押しのけ、何度目かのカーブを曲がった際、それは見えてきました。

大きな石造の橋。

掛けることは不可能だと言われ、その難しさから魔橋と名付けられたゴッタルドの橋。

周りの石はフェイクで、石橋はコンクリートで作られているそうです。

225: 名無しで叶える物語(しまむら) 2021/06/28(月) 19:07:05.66 ID:thX8hXfU
>>215
|c||^.-^|| !?

216: 名無しで叶える物語(たこやき) 2021/06/28(月) 04:08:30.34 ID:s2sxUB0Z
あの手の音楽をユーロビートと呼ぶのは日本人だけだよ

217: ユーロビートではなく、イタロ・ディスコ?と言うらしいですね(SB-iPhone) 2021/06/28(月) 13:24:34.21 ID:vrRUPopW
ヒュオオオオ

さすがはアルプスのお膝元。
谷の間を素早く風が駆け抜け、私の髪の毛が大きく舞います。

果林「帽子は飛ばされそうだから置いておきましょう」

果林「それにしても、絶景ね...」

洗濯板の様な形をした岩が、いくつもいくつも重なり、絶壁をつくっています。
その間に、急流が流れ、水は空気を含んでエメラルド色に輝いているのでした。

ヒュオオオオ

強い風が私の頬を殴りつけてきます。
下は怖いから覗き込んじゃダメだ...
上を向かなきゃ。

チェザレ「Vuoi camminare sul lungomare?(遊歩道あるけど、歩いてみるかい?」

果林「是非行ってみたいわ!」

姫乃「えっ...ええ、行きたいです」

怖がってる私とは逆に、エマさんと果林さんは乗り気の様です。

218: 名無しで叶える物語(SB-iPhone) 2021/06/28(月) 13:38:36.80 ID:vrRUPopW
エマ「あそこにかかってる、コンクリート作りのアーチは新道、こっちの遊歩道が旧道」

エマ「私たちのひいひいひいひいお爺ちゃんは、きっとこっちの石切をしたと思うんだよね」

エマ「景色はいいけど、その分大変だったんだろうなぁ...」

果林「こんな急な所に足場をかけて、石を運んで...想像するだけでとっても大変だわ」

姫乃「人の力の偉大さを感じます....」

エマ「ここの渓谷でね、今年ね、雪だるま爆発のお祭りをやったんだよ」

果林「いきなり話変わりすぎじゃない?でも何?雪だるま爆発のお祭りって?」

エマ「元々はチューリッヒ地方の春を祝うお祭りなんだけど」

エマ「ベーグって呼ばれる、藁で作った雪だるまを用意するの」

エマ「ベーグの中には爆薬が入れてあってね、ベーグに火をつけて、着火した時間から頭が爆発するまでの時間で今年の夏を占うお祭りなんだよ」

エマ「頭が爆発する時間が早ければ早いほど、良い夏になるんだ!」

エマ「みんな、このお祭りが大好きで、国営放送で生中継だってするんだよ」

姫乃「か、過激ですね...」

果林「不思議なお祭りね...」

エマ「スイスの夏は短いから、その分だけ気合が入って言うか、みんなどんな夏になるのか知りたいって言うか...」

エマ「雨ばかり降りません様にって言うおまじないでもあるんだよ」

姫乃「へぇ...所以を聞いても爆発する意味がわからないです」

219: 名無しで叶える物語(SB-Android) 2021/06/28(月) 13:42:07.51 ID:Nd7rE7Vx
ズリッチ!ズリッチじゃないか!

220: 名無しで叶える物語(SB-iPhone) 2021/06/28(月) 13:45:25.69 ID:vrRUPopW
スイス雪だるま爆発祭り参考


Burning of Boeoegg snowman moved to Swiss Alps
https://www.youtube.com/watch?v=14A3ME0N3Fk

221: 名無しで叶える物語(SB-iPhone) 2021/06/28(月) 13:59:59.17 ID:vrRUPopW
再び歩道を歩きました。
洗濯板みたいなでこぼこした岩は、まだまだ続きます。
下は見ないように...見ない様に...

あっ、岸壁の真ん中に穴が空いてる。トンネルと繋がってるのかな?

こっちにはロシア国旗が掲げられてる。大きな十字架も掘られてる...なんだろう...

エマ「あれはね、すごい昔に、ここでロシア軍とフランス軍が戦った時の記念碑なんだよ」

エマ「うーん、どっちが勝ったとか忘れちゃった」

姫乃「そうなんですか...」

とても大きな石碑です。
ちょっと気になるなぁ。後で調べよう。

果林「ねえ、二人とも」

エマ「なあに?」

果林「セルフィーしない?」

姫乃「いいですよ」

果林「こっち来て」

姫乃(うぅ...よりにもよってセルフィの場所が橋の上...ちょっと怖いです)

エマ「あっ、もしかして姫乃ちゃん怖がってる?」

姫乃「いえっ、そんな事」

エマ「ほっぺつまんで、笑顔にしちゃえ」むにゅ

姫乃「いはいへふ(痛いです!)」

果林「私も姫乃ちゃんのほっぺ摘んじゃお」むにゅ

果林「いくわよ  3、2、1」

パシャっ

222: 名無しで叶える物語(SB-iPhone) 2021/06/28(月) 14:06:11.64 ID:vrRUPopW
少し怖かってけど、二人がほっぺをつまんでくれたので、多少怖さは和らげました。

セルフィで盛り上がってる中、チェザレさんが恨めしそうにこちらを見ます。

チェザレ「....」

エマ「?」

チェザレ「Facciamo un selfie con tuo padre.(パパと一緒にセルフィしないか?)」

エマ「Oh, no. Sono troppo imbarazzato.(恥ずかしいからやだ)」

チェザレ「Anche papà vuole farsi dei selfie. Mi manchi così tanto!(パパもエマとセルフィしたい!寂しいよぉ~!)」

エマ「Papà! Non abbracciarmi così all'improvviso.(パパ、急に抱きつかないで!みんなの前だよ!)」

チェザレ「Emma~(エマ~、お願い)」

エマ「Mi dispiace.(仕方ないなぁ...)」

果林「セルフィで大丈夫?キツそうだったら私撮るわよ?」

エマ「ううん、大丈夫そう」

エマ「Papà, ti faccio una foto.(パパ、セルフィするよ)」

チェザレ「Oh, mio Dio, io amo Emma.(ん~まっ!大好きなエマ)」

エマ「そんなにくっつかないで...」




パシャリ

223: 名無しで叶える物語(SB-iPhone) 2021/06/28(月) 17:04:46.56 ID:vrRUPopW
エマ「ちょ~っと待ってね、今服片付けるから」

エマ「よしっ、入っていいよ~」

果林「へぇ...エマのお部屋ってこうなってるのね...」

ゴッタルド峠から帰ってきて、夕飯までまだ時間があるので、エマさんのお部屋をお邪魔します。

ジーナちゃんとエマさんの相部屋。
シックな感じに統一されているのですが、所々に可愛らしい小物やぬいぐるみが置いてあり、女の子が住んでいる事を感じ取れます。

昨日気づかなかったのですが、沢山のクリアファイルと、沢山の日本の雑誌が並べられていました。

姫乃「エマさん、これ、全部日本語勉強のファイルですか...?」

エマ「うん、一応ね。あぁ、これとか懐かしいなぁ...」スッ

果林「これは、新聞の切り抜き?」

エマ「うん、日本の記事とか、スクールアイドルについてのウェブページとか」

エマ「小学生ぐらいだったかなぁ...ほら、日付がこんなにも前」

エマ「あの頃は日本語あんまり読み書き出来なかったから、私、すごい成長したよね」

果林「高校の頃から思ってたのだけど、エマの日本語って流暢すぎるわよね」

姫乃「本当、ネイティブレベルですよね。埼玉とかそこらへんから出てきたんじゃないかなって思うぐらい」

エマ「まぁ、努力すれば誰だってこうなるよ」

224: 名無しで叶える物語(SB-iPhone) 2021/06/28(月) 17:15:17.97 ID:vrRUPopW
果林「これは...フォトブックかしら?」

エマ「あっ...ねえ果林ちゃん、私の小さい頃の写真見たい?見たい?」

果林「見たいけど...そんなにしつこく聞かれると、見ないで欲しい様に感じるわ」

エマ「逆逆、見せたいの!」

エマ「下の子達の小さい頃の写真とかもあるし...」ペラペラ

姫乃「わっ、ちっちゃい頃のエマさん可愛い」

姫乃「エマさんはこの頃からおさげだったんですね。メモメモ」

エマ「これはスクールアイドルを知り始めた頃の写真で」

エマ「衣装とか自作したんだよ」

果林「すごいわね。このひらひらとか作るの大変なのに...」

エマ「そこは努力と根気でなんとかしたよね」

果林「あら、懐かしいわねぇ...高校の頃の写真もあるわ」

姫乃「これ、スクールアイドルフェスティバルの時の写真だ」

姫乃「懐かしいなぁ...」

姫乃「スクールアイドルをしてたから、皆さんに会えて、スイスを訪問して...」

姫乃「果林さん、エマさん、私スクールアイドルやってて良かったなって、実感しました」

姫乃「色々な出会いがあって...そのきっかけをくれたのがスクールアイドルで」

果林「私も姫乃ちゃんに会えた事に感謝してるわ」

果林「色々救われた事もあったしね」

エマ「今までのおかしな関係も、大好きだったし、これからもよろしくね」

姫乃「はい!」

226: 名無しで叶える物語(SB-iPhone) 2021/06/28(月) 21:15:26.73 ID:vrRUPopW
エマ「それでね、この時ね」

エマ「雪の中で遭難して、死にかけた後だったの」

果林「えぇ...色々と大丈夫なの?」

エマ「伊達に走馬灯は見てないよ!」

果林「そういうのは誇っちゃダメよ...」

ダリア「La cena è pronta.~(ご飯できたわよ)」ガチャ

エマ「はーい、今行くね」


階段を一歩一歩降りるたび、肉の焼けた香ばしい匂いが強くなっていきます。

ダリア「Yolanda, niente spuntini.(あら、ヨランダ、つまみ食いはダメよ)」

ヨランダ「...hummm」モグモグ

エマ「Cosa c'è per cena stasera?(今日の晩御飯は何?)」

ダリア「Cerbera, insalata di pollo e fagioli e rosti. E naturalmente c'è il formaggio.(セルベラと豆のサラダとチキンとレシュティよ。あとチーズ)」

エマ「セルベラ!?」

エマ「セルベラだ!やった!セルベラだ!」

227: 名無しで叶える物語(SB-iPhone) 2021/06/28(月) 21:24:35.99 ID:vrRUPopW
果林「セルベラ?」

姫乃「そんなに喜ぶ事ですか?」

エマ「うん!セルベラは、スイスの国民食って言われるほどポピュラーなソーセージで!」

エマ「すっごくおっきいの!バナナみたいにおっきいの!」

エマ「帰ってきてから初セルベラ...」

エマ「もう食べる前からうっとりしちゃう...」

エマ「あっ、サングリア忘れてた」

エマ「とっとっと...」

エマ「二人ともこれぐらいでいい?」

姫乃・果林「「はい(ええ)」」


チェザレ「Domani andiamo tutti a casa, quindi facciamo un'altra bella bevuta oggi.(明日みんな帰ってしまうから、今日はいいのを飲むぞ!)」

ダリア「Non hai detto la stessa cosa ieri?(昨日も同じ事言ってたわね)」

チェザレ「Non mi ricordo.(そうだっけ?)」

エマ「ねえ、果林ちゃん」

果林「?」

エマ「今日は果林ちゃんに乾杯の音頭を取って貰いたいなぁ」

果林「仕方ないわねぇ...」

果林「ん...んっ!」

果林「ヴェルデ家に乾杯~!スクールアイドルに乾杯!」

みんな「「「「乾杯・kanpai!」」」」

228: 名無しで叶える物語(SB-iPhone) 2021/06/28(月) 23:19:39.10 ID:vrRUPopW
果林「姫乃ちゃん、乾杯」

姫乃「乾杯」コチン

姫乃「エマさんも」

エマ「Cin Cin!」コチン


ふぅ...
ごくっ...

アンズの甘みが程よく溶けて、舌の上に余韻を残します。
エマさんは、ワインの他にリキュールも入れてましたけど、アンズとリンゴのお陰で、角が取れて度数があるのにするする飲めちゃいます。

ここはセーブして...ディナーをいただきましょう。

初めにセルベラから。
バナナの様に太いソーセージですね。
確か、牛の腸が使われているとか...

小さく切って、ピリ辛の玉ねぎソースをつけて、お上品に品よく...

パクっ...ぱりん

姫乃「ん~っ!美味しいです!」

姫乃「パリッと表面が焼かれているので食感がとてもいいです」

姫乃「程よく肉汁が滴り、甘い油が舌を包みます」

姫乃「玉ねぎソースなしでも美味しいですね」パクっ

エマ「でしょでしょ?」

果林「これ、大きいソーセージなのにぺろりと食べられちゃうわ」

果林「おかわり!」

エマ「はいはい、まだあるよ」

229: 名無しで叶える物語(SB-iPhone) 2021/06/28(月) 23:25:55.16 ID:vrRUPopW
エマ「早いねぇ...スイスに来てもう5日経っちゃった」

果林「でも移動に1日、スイス国内でも半日かかってるから、実質4日よ」

エマ「スイスは日本から遠すぎるんだよ」

姫乃「エマさんはいつも寂しくならないんですか?こんなに遠くて、家族にも会えないのに」

エマ「うーん、たしかにちょっと寂しいかも」

エマ「でも、これは自分で選んだ道だから、後悔してちゃだめなの」

姫乃「前から思ってたんですけど、エマさんって、大人ですよね」

姫乃「後悔とか、そういうの一歳捨て切ってて」

エマ「そうかな?」

果林「そうよ。やっぱり長女って強いのね」

果林「偶に甘えたり、抜けたりしてる時もあるけど」

エマ「え~?それどういう意味!?」

230: 名無しで叶える物語(SB-iPhone) 2021/06/28(月) 23:42:07.03 ID:vrRUPopW
昨日とは違い、お酒をセーブして、ゆっくりゆっくり飲みます。
頬は赤く火照り、皆お酒が進むにつれて饒舌になっていきました。

エマ「Ehi, ragazzi, venite qui.(みんなこっち来て)」

エマの妹達「??」

エマ「Io canterò e tu potrai ballare con me.(歌うから、一緒に踊ろう)」

エマの妹達「Sì!(うん)」

ズンドコ ズンドコ

エマ「し~あわせになろう~笑顔でララララ」

エマの妹達「くるくる」

果林「姉妹だけあって息ぴったりね」

果林「私も何か歌おうかしら?」

姫乃「私も歌います!」


ゆったり時間が過ぎていきます。
あぁ、明日移動なんて嫌だな。もうちょっと長く居たかったなぁ。

でも、エマさんの家族と仲良くなれた。
エマさんの勤勉な一面も知れた。

今日までの色々な事を思い出しながらお酒をまた一口、一口と飲みました。

231: 名無しで叶える物語(SB-iPhone) 2021/06/28(月) 23:57:01.45 ID:vrRUPopW
果林「すや..すや..」

姫乃「はぁ...」

寝れません。
お酒飲み過ぎたかな...

姫乃「お水飲もうかな...」

姫乃「...」ゴソゴソ

姫乃「...ごくっ...ぷはっ」

姫乃「あっ、外が明るい...月が出てるんだ」

姫乃「外出て歩けば寝れるかな」ガチャ


夜なのでそんな遠くまではいきません。
ログハウスの周辺をぐるぐるします。

月が明るく辺りを照らします。それは月明かりで影ができるほどに。
星が見えてたら、きっと物凄い綺麗なんだろうなぁ。
ちょっとだけ残念ですね...


おや?エマさん達の家の玄関の所に誰かいますね...

232: 名無しで叶える物語(SB-iPhone) 2021/06/29(火) 00:08:12.50 ID:vPRox887
エマ「...スパ~」たばこ

姫乃「!?」

エ、エマさんがたばこ吸ってる!

姫乃(何か見ちゃいけないもの見ちゃったかも)クルッ

ガサっ...

姫乃「あっ...!」

エマ「!!」

エマ「そこにいるのは誰?」

姫乃「あ、あはは...」

エマ「姫乃ちゃん...」

エマ「あっ、たばこ...」アセアセ

姫乃「エマさんってたばこ吸うんですね...」

エマ「見られちゃったかぁ...」

エマ「ほんの偶にだけど、吸いたくなるんだよね」

233: 名無しで叶える物語(SB-iPhone) 2021/06/29(火) 00:20:15.08 ID:vPRox887
エマ「ごめんね、こんな所見せちゃって」

姫乃「い、いえ...他人の趣味嗜好については口出ししないって決めてるので」

姫乃「たばこもべつに普通だと思いますよ」

エマ「そっかぁ...ありがとね」

姫乃「たばこは日本にいた頃から吸ってるんですか?」

エマ「ううん、日本は喫煙者に厳しいから。去年にスイス帰って来た時に、昔の友達に会ってね、それで勧められて」

エマ「そこからかな...」

エマ「もう一本吸っていい?」

姫乃「えぇ、どうぞ」


そう言って、エマさんはもう一本たばこを取り出しました。咥える仕草が色っぽいです。

日本のたばことは違い、フルーティな香りがします。
多分、タールがあまり含まれてないのを吸ってるんだと思います。

エマ「すぅ...はぁ...」プカプカ

ミュシャのジョブという、たばこの絵を知っていますか?
月明かりの下で、紫煙を纏うエマさんはそれと同じぐらい、色っぽくて、かっこよくて...
この一瞬を切り取りたいぐらい、美しくて...ドキドキしてしまいます。

エマ「ふぅ...これでおしまい」

エマ「姫乃ちゃんも早く寝るんだよ」

姫乃「はっ、はい...」

エマ「おやすみ」チュッ


エマさんがほっぺにキスをし、ハウスに戻っていきました。
辺りにはフルーティなたばこの香りが残されます。
その匂いが消えるまで、私はしばらく立ち尽くしていました...

242: 名無しで叶える物語(SB-iPhone) 2021/06/29(火) 01:20:34.73 ID:vPRox887
>>233
ミュシャのジョブ

no title

234: 名無しで叶える物語(SB-iPhone) 2021/06/29(火) 00:24:47.49 ID:vPRox887
~6日目~

ふわふわしながら起床します。
まだ昨日の、エマさんの衝撃が、頭の片隅に残っていました。

果林「おはよう姫乃ちゃん」

姫乃「...おはようございます」

果林「あら?どうしたの?ふわふわしてるじゃない?」

姫乃「い、いえ、なんでもないです」

7日目はスイスから日本の移動に取られてしまうので、実質今日が最終日です。

235: 名無しで叶える物語(SB-iPhone) 2021/06/29(火) 00:36:30.10 ID:vPRox887
ダリア「忘れ物に気をつけてね」

ダリア「洗濯物、置いておくね」

姫乃「ありがとうございます」

3回確認して、よしっ、忘れ物はないです。
後は帰るだけになりました。
ルガノ経由ミラノ行きの鉄道のチケットと、日本行きの航空券を確認して...どちらもありますね、大丈夫。

果林「帰る時って、行きよりも荷物が増えるのよね」

果林「その時を見越して、スペースを空けて来た筈なのに、全然入らないわ」ぎゅーぎゅー

果林「ここもうちょっと詰められるかしら?」

果林「ぎゅーっ、よしっ、入ったわ」

エマ「二人とも、準備出来た?」

エマ「パパがアイロロ駅まで送ってくれるって」

姫乃「ありがとうございます」

姫乃「あ、あの...帰っちゃう前に、みんなで集合写真撮りませんか?」

エマ「あっ、そういえば集合写真忘れてたね」

エマ「みんな~集合!」

ヴェルデ家一同「ぞろぞろ」

エマ「羊をバックに撮ろう。ここあたりがいいと思うよ」

姫乃「あっ、ちょうどいいですね」

姫乃「ここにかけてタイマーセットできるから...」

姫乃「5秒でいきますね」

姫乃「はいチーズ」





パシャっ

236: 名無しで叶える物語(SB-iPhone) 2021/06/29(火) 00:47:21.67 ID:vPRox887
エマさんの兄妹に先に別れを告げ、アイロロ駅へ。
チェザレさんとダリアさん、エマさんが見送りに来てくれています。

チェザレ「Torna a trovarci.(また来てね)」

ダリア「いつでも待ってるわ」

エマ「私は休暇いっぱい、スイスにいる予定だから、ここでお別れだね」

果林「楽しい1週間をありがとう。忘れられない1週間になったわ」

姫乃「エマさん、しばらく会えませんが、お元気で」

姫乃「このお礼は日本で」

果林「チェザレさん、ダリアさん、とっても楽しかったです」

姫乃「今度は日本にいらしてください。私達が案内します」

ダリア「楽しみね」

チェザレ「Ci vediamo allora.(その時はよろしくね)」

姫乃・果林「「はい!」」


ハグをして、頬に2回キス。
最後はスイス流の挨拶で別れます。

エマ「姫乃ちゃん」ぎゅ

姫乃「エマさん」ぎゅっ

エマ「姫乃ちゃん、昨日の事、果林ちゃんには内緒ね」ささやき

姫乃「はい。私達二人だけの約束です」コクリ

エマ「それじゃあね、バイバイ」チュッチュ

姫乃「さようなら」チュッチュ

237: 名無しで叶える物語(SB-iPhone) 2021/06/29(火) 00:57:32.98 ID:vPRox887
ぽー

エマ「じゃあね~!」

窓を開けて、小さくなっていくエマさんに手を振ります。
米粒よりも小さくなるまで、ずーっと手を振っていました。

駅を出てすぐ、ゴッタルドトンネルに入ってしまうので、当たりは暗く、ゴーという騒音に包まれます。

果林「楽しかったわね」

姫乃「えぇ...とっても」

果林「私達がスクールアイドルをやっていなかったら、この旅も、出会いも何もなかった」

果林「本当不思議よね、人の縁って」

姫乃「これからに縁があるなら、私達にはどの様な縁がこの先待ち構えているのでしょうかね?」

果林「何がきたって大丈夫よ」

果林「だって、私達、無敵のスクールアイドルだったんですもん」

姫乃「???」

果林「よくわからないけど最強なの。そして今も」

姫乃「よくわからないけど、最強って事ですね、理解しました」

238: 名無しで叶える物語(SB-iPhone) 2021/06/29(火) 01:03:05.71 ID:vPRox887
行きは色々と不安で迷ってしまいますが、帰りは心の余裕ができるので、あっという間に過ぎていきます。

果林「姫乃ちゃん、私こっちだから」

姫乃「果林さん、さようなら」👋

果林「さようなら姫乃ちゃん」👋

スイスとは違う、さっぱりした別れ方で空港を後にします。

姫乃母「姫乃~」

姫乃「あっ、お母さん!」

姫乃「今はクタクタに疲れちゃった。早くおうちに帰りたいな」

姫乃母「わかったわ。そうだ、カメラどうする?すぐに現像するのなら、カメラ屋さん寄ってから帰るけど」

姫乃「うん、早く現像したいから、カメラ屋さん寄って」

姫乃母「わかったわ」

239: 名無しで叶える物語(SB-iPhone) 2021/06/29(火) 01:15:03.16 ID:vPRox887
姫乃「わぁ~着いた」ボフン

姫乃「やっぱり自分のベッドは落ち着きますぅ...」すべすべ

姫乃「あっ、そうだ、写真現像したんでした」


最近のネガフィルムは、最短で1時間も有れば現像してくれます。昔は1週間ぐらい掛かって、ネガを郵送してもらったりしてたのに...技術の進歩は早いですね。

一枚一枚見返すと、その場面にあった思い出が浮かんできます。

お酒の席で、酔ったチェザレさんが銃を持ち出して来たシーンとか、これまたお酒の席で、エマさんの妹とシェルターに入った時のとか...


集合写真をしばらく眺めた後、便箋を机から出しました。


カキカキ

Cari signori Verde.(拝啓ヴェルデ家の皆様へ)

Come stai... Sto bene.......






おしまい

240: 名無しで叶える物語(SB-iPhone) 2021/06/29(火) 01:17:18.46 ID:vPRox887
参考動画

スイス(チューリッヒ)の食べ物

Swiss Food Tour - CHEESE FONDUE and Jumbo Cordon Bleu in Zurich, Switzerland!
https://www.youtube.com/watch?v=rrz1wiSSe_8



ティチーノ州の観光について

THE BEST OF TICINO SWITZERLAND
https://www.youtube.com/watch?v=5Eh2PboxRAM



アイロロの車載動画

Mountain Town - Airolo, Switzerland Górskie miasteczko Airolo, Szwajcaria
https://www.youtube.com/watch?v=dmtY55c8ijw



スイスと4つの公用語(日本語字幕あり)
https://www.youtube.com/watch?v=AnZY66wyd3M



マイピュア・スイス ~ ポント・ヴァレンティーノ
https://www.youtube.com/watch?v=jZz0QKiijEY

241: 名無しで叶える物語(SB-iPhone) 2021/06/29(火) 01:18:52.03 ID:vPRox887
前二つが無茶苦茶なSSだったので、まじめに丁寧にを目標に書いたらとても長くなってしまいました

途中でコメントくださった方、保守してくださった方ありがとうございます

243: 名無しで叶える物語(しまむら) 2021/06/29(火) 02:33:58.80 ID:tqZSUz/+
ありがと面白かった!
果林さん誕生日に完結、また読み返してみる

244: 名無しで叶える物語(たこやき) 2021/06/29(火) 02:49:30.39 ID:NaNRjQ7B
勉強熱心ですごい
乙でした

245: 名無しで叶える物語(SIM) 2021/06/29(火) 07:10:26.17 ID:8ihgqV4A
神SS
乙です

246: 名無しで叶える物語(光) 2021/06/29(火) 07:20:53.01 ID:WVoR6Oaq
スイス行ったことある人なのかな?
良かったわ乙

247: 名無しで叶える物語(茸) 2021/06/29(火) 10:14:32.75 ID:BWCB+IMS
おつおつ
描写も細かくて惹き込まれる良い旅行SSだった…

248: 名無しで叶える物語(たまごやき) 2021/06/29(火) 16:45:18.01 ID:gs+Mgh3c
凄い調べたんだろうなぁ、いろいろ知れて面白かったよ
乙でした

249: 名無しで叶える物語(SB-iPhone) 2021/06/29(火) 23:54:26.70 ID:RCYEvUFT
旅行行きたくなった

250: 名無しで叶える物語(しうまい) 2021/06/30(水) 00:05:18.60 ID:CgD9AOnv
知識がすごくて読んでて楽しかった

252: 名無しで叶える物語(しまむら) 2021/06/30(水) 07:09:40.80 ID:j8zD5L5g
素晴らしかった

253: 名無しで叶える物語(たこやき) 2021/07/01(木) 01:24:31.05 ID:DhULXsYE
今回も濃密なSSだった
毎回丁寧な描写がすごすぎる

254: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2021/07/01(木) 08:23:35.97 ID:jQDJxjFH
完結してたか乙
旅行にいきたくなる素晴らしいSSだった

256: 名無しで叶える物語(SIM) 2021/07/01(木) 19:36:24.21 ID:SAVlE2MX
チーズ作りを読んだり動画見てしばらくチーズ食いまくってたけど
今日からはソーセージ週間になりそう・・・。

257: 名無しで叶える物語(えびふりゃー) 2021/07/02(金) 03:49:09.88 ID:Xudtcukc
Bravissimo!

258: 名無しで叶える物語(SIM) 2021/07/02(金) 20:31:24.47 ID:UMGrCHTd
乙!良かった!

251: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2021/06/30(水) 03:34:21.63 ID:zNdk1lOU
今回もすっごくよかった
丁寧に調べてあるし読んでて旅行に行きたくなるしこんな学生生活羨ましいなってw

https://fate.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1623844600/